緊張すると顔に大量の汗をかく… | 精神性発汗の原因と対策
人前で話す時や初めての人と会う時など、緊張して顔に大量の汗をかくことはありませんか?
不安や緊張によって汗をかく症状を「精神性発汗」といいます。精神性発汗は誰にでも起こるものですが、その量には個人差があり、手足や顔に大量の汗をかく場合には仕事や日常生活に支障をきたすケースもあります。
今回は、精神性発汗の原因と対策についてまとめます。
精神性発汗とは
「精神性発汗」とは名前の通り、その人の精神状態に呼応して汗をかく症状です。不安や緊張など、精神的なストレスを感じた際に、顔や手足などから汗をかきやすくなります。
発汗には精神性発汗の他に「温熱性発汗(気温が高い時や運動をした時など体温が上がっている時にかく汗)」と、「味覚性発汗(辛いもの、酸っぱいものを食べた時にかく汗)」があります。一般的な温熱性発汗による汗は比較的全身で出やすいですが、精神性発汗では特に顔やワキ、手のひら、足の裏など局所的に汗をかきやすいのが特徴です。
精神性発汗の原因
精神性発汗の原因は自律神経の働きと深く関係しています。自律神経には交感神経と副交感神経ありますが、人が活発に活動する時は交感神経、リラックスしている時や寝ている時は副交感神経が活発に働きます。手足や顔に大量の汗をかく症状は、この自律神経のバランスが乱れ、交感神経が過度に働いてしまうことが原因と考えられています。
多量の精神性発汗の原因は、過去の経験からくる予期不安の他、性格なども関係してきます。特に、神経質であったり繊細な人、几帳面な人等は汗をかきやすい傾向があります。
精神性発汗の対策
手足や顔に大量の汗をかくような場合には、就職活動や仕事、恋愛など様々なシーンで支障をきたすことがあるため、何らかの対策を取りたいと考えている人は少なくないでしょう。
代表的な精神性発汗の対策としては、下記のようなものがあげられます。
1.制汗剤を使う
最も手軽な対策としては、市販の制汗剤を使用する方法があります。ドラッグストア等で手軽に手に入る脇や体用の制汗剤の他、手汗用の制汗剤、顔汗用の制汗剤など様々な種類があります。
顔汗用の制汗剤は、女性の化粧崩れ対策としても人気を集めています。

2.精神科を受診する
「うつ病でもないのに精神科なんて…」と抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、精神性発汗に悩む人は何らかの不安を心に持っていることが多いのです。過去の経験などから、人と話す時などに無意識に感じる不安が体を緊張させてしまい、精神性発汗を起こす原因となります。そのため、この不安を取り除くカウンセリング等の治療が有効になるケースがあります。
最近ではプライバシーが守られたタイプの通いやすいメンタルクリニックが増えてきていますので、そういったところで相談してみるのも良いでしょう。
3.病院を受診する
あまりに大量の汗をかく場合には、多汗症という病気の可能性もあります。症状は手足や顔などに現れやすく、平常時から汗が多く出るのが特徴ですが、緊張等の精神的ストレスによってさらに多くの汗をかきやすくなります。
現在では多汗症の治療を行っているクリニックも多くありますので、まずは専門の医師に相談してみるのが安心です。
4.内服薬、漢方薬
抗コリン剤の「プロバンサイン」や、精神安定剤として有名な「デパス」は精神性発汗で精神科を受診すると処方されることがあります。これらは不安を取り除く作用があります。
また、漢方では防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)等が用いられることがあります。
まとめ
今回は、精神性発汗の原因と対策についてご紹介しました。
精神性発汗では精神的なストレスが原因となるため、「気にしない」というのが一番なのですが、そう簡単ではありません。
手足や顔から大量の汗をかくような場合には生活にも支障をきたすこともありますので、気になる場合には早めに対策を検討してみるようにしましょう。